特集

転職・コンサルタントTOP 特集 ライフ&マネープランから描き出す新時代の転職

仕事“以外”で稼ぐには? 高校の同級生と楽しむ「趣味以上、副業未満」

仕事“以外”で稼ぐには? 高校の同級生と楽しむ「趣味以上、副業未満」

「職場の理不尽を笑い飛ばす」をテーマに誰もが共感するサラリーマンあるあるを詰め込んだボードゲームを制作するサークルNBO Nagoya Buru-Orenji(以下、NBO)。

高校時代からの仲間たちと集まって、楽しく、だけど真剣に。持続的に続けられる程度の採算はしっかり取りつつ、あくまで仕事ではなく趣味の範疇で。「趣味以上、副業未満」の温度感で取り組む“大人の課外活動”の魅力とは?

業種・職種が異なるからこそ生まれるチームワーク、本業で培ったスキルの生かし方、逆にサークル活動で得た経験が本業に役立ったことなどを聞きました。

これを読めば、あなたも友達同士で何か作ってみたくなるはず!

NBO Nagoya Buru-Orenji

会社で起きた理不尽を笑いに

――まずは、ボードゲームを自作しようと思ったきっかけを教えてください。

Hiro:僕らはもともと高校の同級生で、約20年の付き合いになります。卒業してからもたまに集まって飲んだり遊んだりしていたんですけど、他の同級生たちが集まって起業をしたという話をたまたま聞いて「かっこいいな、僕らもなにかやりたいね」と思い立ったのがきっかけですね。

オゴロゴロン:当時はみんな副業禁止の会社に勤めていたので、本格的なビジネスを立ち上げるなんてことはできなかったんですよね。それで、当時みんなでハマっていたボードゲームを自分たちでも作ってみようと思い立って。それが2021年だったでしょうか。

イグアナ:コロナ禍だったこともあって、時間に余裕があったのも大きいですね。2週間に一度程度、ZoomやLINEのビデオチャットでゲーム作りの定例会議をやって。1年ちょっとかけて最初のゲーム「稟議王~ハンコの時代は終わらない~」が完成しました。

NBO Nagoya Buru-Orenji


――「稟議王」は、社内政治を勝ち抜き最終的に社長の承認印を獲得した人が勝者になるという会社員あるあるを詰め込んだユニークなゲームです。ゲームのアイデアはすぐに決まったんでしょうか?

オゴロゴロン:最初は部活をテーマにする? とか別の案もあったんですけど、話しているうちに、みんな普段の仕事で同じような理不尽を感じていることに気づいたんですよね。

Hiro:全員職種も業種も違うのに「会社ってこういうところあるよね」という点には意外と共通点が多かったんです。

イグアナ:当時は自分を含めて日系企業に勤めていたのもあって、どこか似ていてね。

オゴロゴロン:たしか、イグアナさんかもう一人のメンバーのケントさん(本取材は欠席)が言い出したんじゃないかな。4人でもこんなに「あるある!」で共感できるんだから、この理不尽さを笑いに変えることができれば、面白いゲームが作れるんじゃないか? と盛り上がった記憶があります。

オゴロゴロン:最初は「聞いてよ、こんな理不尽なことある!?」みたいな愚痴の言い合いから始まって、「どこの職場にも“評論家おじさん”がいるんだね」とか「ハンコってめんどくさいよね」とか。どの会社でもあるような共通の悩みを出し合っているうちに、「稟議を通すためにハンコを集める」というコアのアイデアが生まれました。


――実際に会社員をしている人たちならではのリアルな声が。

オゴロゴロン:「じゃあハンコを集めるにはどうすればいい?」「上司の覚えをよくしないと」「まずは仕事をきちんとやることかな?」「いや、でも政治的に立ち回ることも必要だよ」……など、ゲームに必要な要素に落とし込んでいく作業を、みんなでワイワイ喋りながら少しずつ進めていきました。

NBO Nagoya Buru-Orenji

「ケンカしたら解散」本業スキルを生かした役割分担

――「稟議王」はネットニュースメディアでも取り上げられ、かなり注目されたそうですね。その後も新作を発表されていますが、本業を抱えながらのゲーム制作はなかなか大変なのでは?

オゴロゴロン: 役割分担は、友達同士としての普段の関係から自然に決まっていった感じですね。たとえば僕はサークルでは経理担当ですけど、みんなで旅行するときも全員からお金を集めてそこからご飯代を出して……と、経理的なことを自然とやっていたんです。Hiroさんはコミュニケーション能力に長けているので、SNSや宣伝担当ですね。

Hiro:あと自分は、ケンカになりそうなときの調整役をすることが多いですね(笑)。たとえば、オゴロゴロンさんとイグアナさんはゲームバランスの好みが結構違うので、衝突まではいかないんですけど、意見の相違が出てくることがたまにありまして。そんなときに間に入るようにはしています。


――バランサー的な役割をなさっているのですね。

Hiro:オゴロゴロンさんとイグアナさんだって、本心ではケンカしたくないだろうし。第三者が「まあまあ」と入ると溜飲が下がるというか、譲ってもいい部分を探りやすいですよね。

僕は本業で営業をやっているんですけど、営業といっても社内調整というか、部署間で落とし所を提案したり仲裁をしたりすることが多いんです。サークルでもその経験が生かせているのかもしれません(笑)。

オゴロゴロン:サークルコンセプトは「ケンカしたら解散」。友達をなくしてまでゲーム作りしたくないですから(笑)。

NBO Nagoya Buru-Orenji

——イグアナさんはデザイン担当とのことですが、本業はマーケティングとおっしゃっていましたよね。もともとデザインができたのでしょうか。

イグアナ:いえ、僕はボードゲーム制作のためにIllustratorを勉強しました。


——ゼロからですか? すごいガッツです!

イグアナ:でも、以前から興味はあって、いつかできるようになりたいなと思ってはいたんです。本業でもたまに簡単なデザイン作業が発生することがあり、都度作業を外注するよりは自分でAdobeソフトを使えるようになれたら小回りが利くだろうなと。

でも、いざ勉強しようとしても、きっかけがないとなかなか難しいじゃないですか。ゲーム制作という動機を得たことにより、デザインの勉強やIllustratorをするモチベーションが生まれたんです。本業でもイラレデータを扱えるようになり、ゲーム制作で得た技術が直接仕事に役立っていますね。


――ゲーム制作での経験が本業で生かせたり、反対に本業のスキルがゲーム制作につながったりするのは素晴らしいですね。

オゴロゴロン: それでいうと、NBOは僕が代表して個人事業主として確定申告をしているのですが、本業の人事の仕事では給与計算や年末調整も担当しています。確定申告をすることによって「確定申告のここと、年末調整のここはこうやってつながっているんだな」と、本業の仕事への理解が深まりました。

イグアナ:自分は本業ではマーケティングにも関わっているんですが、「稟議王」がバズったことでSNS戦略のノウハウや話題になることのメリットを実感することができました。反対に「バズって急に注目されるのも危険なことかもしれない」という考えに至ることもできて、いい経験になりました。

「お金を稼ぎたいならおすすめしません」

――差し支えなければお伺いしたいのですが、みなさんのサークルの収支はいかがなものなのでしょう?

Hiro:ボードゲームの即売会のようなイベントは主に東京で開催されるので、そのための交通費や宿泊費、ご飯代がまかなえる。加えて、即売会で好きなゲームを好きなだけ買えるくらい……ですね(笑)。「お金のかからない趣味」といったところでしょうか。

NBO Nagoya Buru-Orenji

オゴロゴロン:正直言って、ゲーム制作にかけた時間だけバイトしたほうがはるかにプラスです(笑)。同じゲーム制作なら、アプリなどのほうが夢はあるのではないでしょうか。物を作ると在庫も発生しますしね。

イグアナ:ただ、企画から販売まで一気になんて経験は、会社ではできないですからね。そこはサークル活動ならではかも。

オゴロゴロン:何より「実物が売れる」ってすごく面白いんですよね。そういう体験価値を考えたらお金には代えられません。でも、副業できちんとお金を稼ぎたい場合は、やめたほうがいいです!(笑)

Hiro:それは間違いないね(笑)。ボードゲーム制作を経て「お金を稼ぐのは難しい」ということを改めて認識しましたし、お金を稼ぐなら趣味や副業的なところではなくて、本業を頑張ったり転職活動を頑張って給料を上げたりしたほうがいいな、と逆に気が引き締まりました。

趣味も楽しみたい人の「働きやすい会社」って?

――この座談会が掲載されるのは「マイナビスカウティング」という転職サービスですが、Hiroさんはどのような転職をされたのでしょうか?

Hiro:以前勤めていた会社は日系かつ比較的規模が大きくて安定した企業だったので、転職する人もあまりいなくて。だから出ていくときは不安もあったんですけど、出てみたら出てみたで意外となんとかなったという実感があります


――どうやって情報収集されていましたか?

Hiro:転職サイトに登録してエージェントの方と面談して、業界や職種はこれまでと固定して、より条件のいい会社を探すことにしました。理由としては、これまで働いていた業界や職種自体は自分に合っていると感じていたことと、当時の年齢が33歳だったこともあり、ある程度経験を生かせたほうがいいなと考えたからですね。

NBO Nagoya Buru-Orenji

――ちなみに、ボードゲーム制作をやる上で働きやすい、自分の時間を作りやすい会社を選んだなんてことはありますか?

イグアナ:自分は今の会社で3社目になるんですけど、今の会社は外資系なのもあり、ハイブリッドワークです。オフィスに行くこともあれば自宅で作業する日もあります。そのあたりはすごく働きやすいと感じますね。

ボードゲーム制作のために転職したわけではないけれど、個人の時間の使い方に対して細かいマネジメントをされない、自由度が高い点は自分にとっていい転職だったと思います。

オゴロゴロン:そうなんだ~。初めて聞く話ばかりです(笑)。

Hiro:普段遊んでいるときはこんな話になりませんからね、少し恥ずかしいかも(笑)。

オゴロゴロン:でも、こうやって友達からいろんな世界の話を聞けるのは嬉しいことですよ。

イグアナ:今の会社は自由だけど、これまで勤めてきたような日系企業のような仲間意識は若干希薄だなと感じています。だからこそ、会社の外にこういう友達関係があると、無理して職場で人間関係を作らなきゃみたいなプレッシャーもなく、気持ちに余裕ができますよね。それが結局、職場や仕事にもプラスに働いている気がします。

「趣味以上、副業未満」の楽しさ

――友達と集まって飲み会や旅行も楽しいですけど、ひとつのものを一緒に作るって素敵だなとお話を伺っていて感じました。とはいえサークル活動のほうもまったくの趣味、採算度外視にするというわけでもないんですよね。「趣味以上、副業未満」といいますか。

イグアナ:それは、起業した友達の話をきっかけにスタートしているからかもしれないですね。

オゴロゴロン:いわれてみると「趣味以上、副業未満」は、最初から狙いに行ったんだと思います。自己満足よりはみんなに欲しがってもらえるゲームを作るほうが気持ちいいじゃないですか。

イグアナ:ゲームを販売するってなったときも、みんなかなり真剣になったよね。販売個数の目標とか効果的なプロモーションの方法だとかターゲット層はどうだとか……。まるで仕事のように真面目に考えました(笑)。

Hiro :やっぱり「いざ」となると真剣になりますよ(笑)。

オゴロゴロン:在庫に関してはHiroさんがとくに厳しい目を向けていました。

NBO Nagoya Buru-Orenji

Hiro :ウチは在庫残るのは絶対ダメっていう業界なので。オゴロゴロンさんの業界は「多めに作って単価下げたらいい」って感じらしいんですけど、ウチではそれはありえないんですよ。

オゴロゴロン: 全然考え方が違ったよね。それはカルチャーショックでした(笑)。


――経理担当のオゴロゴロンさんは「趣味以上、副業未満」的な活動において、お金の管理で苦労したことはありますか?

オゴロゴロン :うーん、ほとんどないですね。やっぱりみんな社会人だからちゃんとしているし、バカみたいな経費の使い方もしないですし。儲けに走るわけでもなし、堅実に活動費がペイできて楽しくやりたいという目的も一致しているので、経理担当としてはかなりラクをしていると思います。


――それは「いい事業部」といえますね(笑)。「社内政治ボードゲーム3部作」の最終作にあたる新作も準備中だそうで。

オゴロゴロン :「まとまれ!じんざいの島」というタイトルで、社内人事をテーマに制作中で、個性がある人たちの中から、一人ひとり上手にバランスよく配置して、良いチームを作ろうというゲームですね。


――まさにオゴロゴロンさんの本業の領域! 制作は順調ですか?

Hiro:3月にお披露目予定なんですが、だんだん「次の予定が決まっているんだからなんとかやらなきゃ!」といった雰囲気になってきています。

オゴロゴロン:しばらくPVを作っていて、それが完成して満足しちゃっていました。やらなきゃですね(笑)。

——それぞれお忙しい中、楽しんで制作を続けていらっしゃるのが伝わってきました。本日はありがとうございました!

NBO Nagoya Buru-Orenji

(構成:藤谷千明、編集:山崎春奈)