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【体験談】収入増やキャリアアップを実現する「副業」って?先駆者が語るリアル

【体験談】収入増やキャリアアップを実現する「副業」って?先駆者が語るリアル

どうせやるなら、未来の転職やキャリアアップをアシストする「副業」を。お金を稼ぐためだけではなく、本業のスキルを生かしながら会社ではできない新しい経験や、出会いをもたらす使い方もできるもの。

会社外での活動を、しっかりとスキルアップや転職に結びつけた3人の“副業マスター”に体験談を聞きました。

CASE1:毎日のExcel術が「商品」に

yamazero

1人目は、大手化学メーカーに勤務しながら、副業で「Excel代行」に取り組んでいるyamazeroさん。実験データや販売実績の整理・集計の経験を生かし、VBAを用いたデータ整理や加工、ツールの作成などを請け負っています。

この副業を始めたのは2018年頃。入社して数年でまだ社歴も浅く、なかなか給料も上がらないなかで「平日夜や土日の時間を有効に使えないか」とできることを探し始めました。

「最初はクラウドソーシングサービスでシンプルなデータ入力をしていたのですが、単価が低く、業務量と割に合わず……。自分のスキルを生かす仕事を考えて、Excel作業の代行を始めました」

本業でもExcelを使用する機会は多く、得意だったというyamazeroさん。

ちょうど大規模な売上データを扱う部署に異動になったタイミングでマクロを学んでいたこともあり、そのスキルを生かしつつ、実践にもなればと軽い気持ちでスタート。需要は多く、2018年からこれまで依頼が途切れたことはないそうです。

「本業で所属している部署は、いわゆる間接部門。お客さんと接する場面がなく、自分の仕事の成果が世の中の役に立っていたり、売上につながっていたりする実感があまりないんです。一方の副業では、お客さんとも直接やりとりし、感謝の言葉もいただき、人の役に立っているのが感じられます。それが副業を続ける一番のモチベーションですし、本業とのバランスをとることができています」

エクセル代行

持続可能な仕事量・時間を見極めよう

依頼が途切れないからこそ、大切になるのは持続的な時間の確保。限られた余暇の中で、際限なく仕事を受けられるわけではありません。

「平日はなるべく早く本業を切り上げていますが、それが難しい時期も。とはいえ、1日に最低30分は作業時間を確保することは意識しています。出張先のホテルでもパソコンを持参して作業していますね。

我が家は共働きなのですが、家族の協力も不可欠です。細かいところでいうと、行き帰りの通勤時間でメッセージの返信や仕様の確認などスマホでできることはなるべくこなし、自宅に帰ってからすぐに作業に取りかかれるように工夫しています」

今では副業だけで毎月約20万円の収入に。収入が増えたことで買いたいものを買いやすくなったのはもちろん、貯金や投資にもお金を回すことができ、心の余裕も生まれたといいます。

「最も多く案件を請けていた時期よりは減らしているので、収入という意味では、以前のほうが稼げていました。本業や家庭とのバランスや、長く続けていくことを考えて今はこのペースに落ち着いています」

本業のスキルをフルに生かし、理想的な副業への取り組み方をしているyamazeroさん。自身の経験を踏まえて考える、副業に向いている人、向いていない人は?

とにかく動いてみようとする人が向いているのかなと思います。いろいろな情報を集めていると『これができそう』『あれもできるのでは』と考えてなかなか前に進めない人もいるかもしれません。まずは、登録して数をこなしてみる。最初はなかなかうまくいかないと思いますが、コツコツやり続けながらニーズに合わせてチューニングしていくことが大切だと思います。いきなり稼ごうとしない人、一発逆転を狙わない人こそ、向いているかもしれません

CASE 2:大手SIer→スタートアップ転職に成功

入江純

2人目は、日系の大手SIerに在籍中に副業先として働いていたスタートアップに転職した入江純さん。前職ではインフラエンジニアとして企業や自治体向けのシステム提案・構築・運用などを担当しており、トレンドを取り入れたクラウドベースの開発スタイルの経験を積みたいと副業を始めました。

「副業を検討し始めたのは、新卒入社してから10年目ぐらいの時期。自分の力がどれだけ社会や他の会社で通用するのかを確かめたい、新しいことに挑戦したいと思ったのが大きな理由です」

当時は本業の仕事を100%楽しめているわけではない状況で、転職も選択肢の一つではあったものの、「給与を含む待遇面や、自分のスキルが本当に他社で通用するのか、カルチャーギャップで辛くならないか、などを考えるとなかなか一歩を踏み出せなかった」という入江さん。

副業という選択肢であれば、転職よりもハードルが低く“お試し”できると考えて、求人サイトに登録しました。入江さんの経歴を見て興味を持ったスタートアップから声をかけられ、トントン拍子で業務委託契約へ。週8~10時間ほど開発作業を進め、週1回の定例会議に参加する生活になりました。

週5で働きながらの両立は大変だったのでは? と聞くと「その頃は副業が楽しかったので、睡眠時間を削りながら作業していました。あまりおすすめはできませんが……」と笑います。

当時、本業でAWS(Amazon Web Services)をクライアント企業に導入する大型案件に関わっていた入江さん。

「副業先のスタートアップも、まさにAWSの管理をしっかりとやっていこうという時期で、本業での経験をそのまま生かすことができました。これまで培ったスキルや考え方がある程度通じそうだという、自信になりましたね。逆に副業で得たノウハウを、本業へダイレクトに生かせたこともたくさんありました」

スタートアップの副業

働き方の「軸」を見つけられた

1年半ほど業務委託として関わったのち、本格的に転職を決意。さまざまな会社を比較した結果、総合的に考えて今の副業先が一番フィットすると思い、正社員になることを決めました。

同僚たちの雰囲気や、会社が目指すものを肌で感じられたのがやはり大きかったです。副業を経験したことで、仕事に対して自分が合う・合わない部分を客観的に知ることができましたし、会社を選ぶための軸を具体的に作れました。最終的に他の会社を選んでいたとしても、副業経験の有無で、転職活動の質はまったく違ったものになっていたと思います」

副業OKを掲げる会社も増えつつありますが、両立の実態はなかなか想像しにくいもの。忙しいなか、限られた時間でも成果を出せた理由の一つは「本業に取り組む時間を自由に調節できたから」と自身の経験を振り返ります。

「本業が裁量労働制で、ある程度自分で時間をマネジメントできたのは大きかったです。残業前提など労働時間が長かったり、自分で調整が難しかったりすると、副業のハードルはもっと高かったかもしれません。副業しやすい会社に転職したいと考えている方は、リモートワークがどれくらい導入されているかなども確認するとよいと思います」

最後に、副業へのチャレンジをおすすめしたい人はどんな人?

「少しでも自分の力を試してみようという思い、『今の会社よりも、もっと自分に合うところがあるんじゃないか』という気持ちが少しでもある人、転職を考えてはいるけど踏み切れないという人におすすめしたいです。私の場合は家族がいたので失敗できない思いもあり、実際の実務を通して相性を見極められたことがとても役に立ちました」

CASE 3:市場価値を上げ、地域にも貢献

丹羽亮人

3人目は、地域の伝統食品である「豆腐の味噌漬け」を製造・販売する「五木屋本舗」(熊本県・五木村)で2年超にわたってリモート副業を経験した丹羽亮人さん。ECサイトの売上を増やすプロジェクトに参画し、データマーケティングや商品開発などに幅広く取り組みました。

「好奇心旺盛なタイプでもあり、副業という言葉が流行り出したタイミングで興味を持ちました。人生一度きりですし、いろいろな業界の仕事にチャレンジしたいと考えたのがきっかけ。旅行が趣味で、せっかくなら地方経済に貢献したいとGoogle検索することから始めました」

こうして見つけたのが、地域のNPOや中小企業とプロジェクト単位でつながる兼業マッチングサイト。ECサイトのマーケター、データ分析の担当者を募集している五木屋本舗の案件を見て「自分の本業経験ともマッチしている」と応募を決意しました。

「熊本には何度か訪れたこともありましたし、当時は熊本豪雨(2020年)の記憶も新しく、少しでも支援できればという思いがありました」

ECサイトの売上アップを目指して始まったプロジェクトではありましたが、クライアントとの対話やデータ分析を重ねる中で、さらなる課題も明らかになります。より魅力的な商品の開発、ハガキやDMによるオフラインマーケティング成果の最大化などのほうがビジネスインパクトが大きいのでは――そう判断し、商品開発や業務効率化にも、丹羽さんをはじめとする兼業プロジェクトチームが関わることになりました。

「これまで培ったデータサイエンスとマーケティングの知見を生かしながらも、周辺領域の仕事にも携われたことで、自信がつきました。これまではデジタル施策に発想が偏っており、経営視点で優先度を見極め、幅広い施策を立案できるようになったことは、本業にも大いに生きています

丹羽さんが当初から強く意識していたのは「自分の市場価値を上げること」。副業を通じて本業以外の業界にも働きかけ、今後のキャリアでアピールできる強力な武器を得るべく戦略的に行動したといいます。

「大企業では部署ごとに分業することも多い。副業だからこそ、過去の経験に甘えずに領域を超えて挑戦ができました。『幅のある事業ドメインでも力を発揮できる、こんな成果を出せる』と具体的にアピールできるようになったことは、自分にとって大きな財産です」

「自分の可能性を試したい」人には絶好の機会

同プロジェクトは事前に報酬が提示されていたこともあり、「適正ラインを超えて働きすぎない」ことも考えていたそう。大幅に想定時間を超過しそうな作業が発生した際は、都度クライアントと調整を行っていたといいます。

「自分の興味関心に基づいて副業しているとはいえ、投じているのは貴重な余暇の時間。短い時間でメリハリをつけ、パフォーマンスはしっかり出すことを意識しています。副業は時間管理が命。身を粉にして働きすぎてしまうタイプの方は気を付けてほしいです」

データ分析副業

五木屋本舗での経験を経て、副業の面白さや可能性に気づいたという丹羽さん。今もデータサイエンティストやマーケターとして複数社から相談を受け、本業とは異なる分野でも日々スキルを磨いています。

お金が目的の方、とにかく稼ぎたい方にはおすすめしません。普段仕事で向き合っているお客様以上に世の中を喜ばせたいという強い思いがある方こそ、副業に向いていると思います。対象のお客様を広げ、自分の持つ経験やスキルを世の中に還元していくことがその思いを叶える方法の一つだと考えています」

本業以外に何かやってみたいと思いながらも「忙しくて手をつけられない」「何をしたらいいのか」と、なかなか一歩を踏み出せない人も多いはず。興味があるならスモールスタートでも始めてみては? と丹羽さんはエールを送ります。

「転職や起業といったリスクの高い選択肢に比べ、副業は手続きが簡易で、学びながら成功確度を高められる絶好の機会だと思います。自分自身の可能性を試したいと考えるすべての方に、強くおすすめします

(構成:加藤智朗、編集:山崎春奈)