特集
今回のコンサルタントは、金融全般・メーカー全般を得意業界とするヒロテクノス株式会社の宮崎 真さんです。求職者の代理人として、“大胆な提案”で企業側から最大限の譲歩を引き出したサポートを、宮崎さん(以下敬称略)に振り返っていただきました。
求職者プロフィール
Sさん、男性、転職当時50代。中堅精密機械メーカーに30年余り勤務。十数年、工場長として勤め、生産・工程・品質管理、品質保証、人材教育等、多岐にわたる経験を持つ。また技術士資格も保有し、自治体への申請やISO関連業務にも精通した人材でもある。長く勤めた会社を去り25年ぶりの転職活動に挑む。
紹介先企業プロフィール
新興ファブレスカンパニーのA社。設立間もない同社が大規模な発注を受け、事業を遂行していくためには、技術士資格を保有する役職候補者の確保が急務となっていたが、採用マーケットに滅多に現れない人材のため採用が難航。事業推進の危機に直面していた。
――まずは今回の紹介先であるA社さまについてお聞かせください。宮崎さんは、A社さまからどのようなオーダーをいただいていたのでしょうか?
宮崎: A社さまはファブレスカンパニー(メーカーでありながら工場を持たないビジネスモデル)で、設立されて間もない会社です。A社さまが今後大規模な発注を受け、事業を継続・推進するためには、技術士の資格を持つ役職候補者の採用が必要不可欠でした。その課題解決のために、採用担当者さまから、設立当初より採用のお手伝いをしていた私にお声がかかったわけです。
――技術士資格保有者というのは、採用難度がかなり高いのではないのですか?
宮崎:
そうですね。採用マーケットには滅多に現れない人材ですので、オーダーをいただいた日から、マイナビスカウティングを中心に、毎日のようにチェックしていました。
1ヵ月ほど経過した頃でしょうか。マイナビスカウティングに登録されたSさんの職務経歴書が目に留まり、すぐにアプローチして、私との面談をセッティングさせていただきました。数週間後、Sさんと面談できたのですが、その場で「ほかの企業から内定をいただいた」というお話を聞かされました。
――内定を得ていながらも、面談にいらしたのは、その内定先に不満でもあったのでしょうか?
――実際に、お会いしてみたSさんの印象はいかがでしたでしょうか?
宮崎:
資格や経験に申し分ないことは、事前に分かってはおりましたが、勉強熱心なところや、後進の指導など、設立間もないA社さまに相応しい人材だと感じましたし、SさんもA社さまに興味をお持ちになったようでした。
面談時に、Sさんが転職で叶えたいことは大きく3つありました。それは「企業の成長に貢献できること」「工場長としての経験が生かせること」「技術士の資格が生かせること」です。
すでにいただいていた内定は、中堅の医薬品系メーカーでの工場長とのことで、文字通り工場長の経験が存分に生かせるようでしたが、反面、技術士の資格が生かせる転職先ではないようでした。A社さまへの転職の場合、技術士の資格が生かせますが、ファブレスですので、工場長の経験が生かせない点もある。Sさんは、優先順位がつけられずに大いに悩まれているようでした。
しばらくお話を伺っていると、前職ではプライベートの時間を活用して個人的に、技術士資格取得を目指す方々に対して、取得支援講座の講師などを通じてサポートを行ってきたとのことでした。仕事を続けながら、このような活動を継続していきたいとのご希望をお持ちということも分かりました。
――「プライベートの時間で」といっても、個人で活動することを快く思わない企業もあると思いますし、まして転職活動でそのような希望を伝えるのは難しいですよね?
宮崎:
もちろんSさんも分かっていらっしゃいました。しかし、技術士のことについて語るときのSさんはとても楽しそうで、実に熱意を持たれているようでしたし、ご自分でも話をしながら、「技術士の資格が生かせること」の優先順位が高いということに気づかれたご様子でした。
そんなSさんでしたので、A社さまの面接をまず受けたうえでご判断いただきたいと伝えました。同時に、何とか個人の活動も継続したいというご希望を叶えてあげたいとも思い、採用担当者さまをはじめ、役員の皆さまに認めていただけるよう提案してみました。もちろん、“A社さまでの業務に支障がなく、また無償サポート支援の範囲で”です。
――それは、大胆なご提案ですね(笑)。皆さんの反応はどうでしたか?
宮崎: 渋い顔をされていましたね(笑)。ただ、SさんがどれだけA社さまに必要な人材かは、面接でご理解いただけるという確信がありましたし、何より個人の活動を認めていただけることが技術士としてのSさんのモチベーションを上げ、A社さまでの活躍につながると判断して交渉にあたりました。ご提案に対して即答はいただけませんでしたが、まずは面接のセッティングを依頼しました。
――A社さまの面接をセッティングするということは、先に内定を出された企業に内定受諾をお待ちいただくということになりますよね?
宮崎: はい。内定受諾を先延ばしにするだけでなく、Sさんが遠方にお住まいのこともありましたので、A社さまには「面接は1回のみで」と提案しました。また、Sさんに対して誠意を示すためにも、相応しい人材であれば、面接当日に内定を出していただきたいという提案もいたしました。
――「個人の活動を認める」以外にも、面接回数の交渉までされたのですね? そのような提案が認められたのですか?
宮崎: 採用担当者さまにご理解いただき、経営陣の方々への働きかけを行っていただいたおかげだと認識しております。また、面接のスケジュールを調整いただくのは大変でしたが、何とか“1回面接”を実現することができ、そして私の見立てどおり、即日内定をいただきました。さらに、個人の活動についても承諾いただけましたので、そこまで譲歩しても余るくらいの逸材との評価をいただけたと推察しております。
――その後、SさんはA社さまで活躍されているご様子でしょうか?
宮崎: 技術士関係の業務だけではなく、社内ネットワークの構築など、企業が成長するためのインフラ構築も担当して充実した日々をすごしているようです。
――幸せな転職をされたということですね。それにしても、随分と大胆な提案の数々をされましたね。そのような提案と交渉ができたのは、何か理由があったのでしょうか?
――求職者の気持ちを汲む採用担当者さまですか。それは、宮崎さんがエージェントとしてつくりだした人と人との“つながり”の賜物ですね。
宮崎: Sさんの採用からは話が逸れてしまいますが、その採用担当者さまにはSさんのあとに、2年以上のブランクがあった40代の男性もご紹介して、採用していただきました。
――え!? 2年以上のブランクのある40代の求職者ですか? それはなかなか難しそうな…
宮崎:
もちろん、必要な要件を満たしていた方でしたので、紹介させていただきました。
このような人材は、転職サイトなどで応募しても書類選考で落とされて、面接にたどり着けないことも多いです。ただ、必ずしも求職者に問題があるとは限りません。今回の求職者であるSさんも、20~30代の求職者ほど求人数に恵まれていたわけではないと思います。お二人とも、コンサルタントが介在したからこそ、選択肢が広がり、それらの選択肢の中からベストな転職先にたどり着くことができたと思います。
コンサルタントは採用担当者さまと深く信頼関係を築いていますので、A社さまでの採用のように求職者さまのためにできることがたくさんあると思います。そのような介在価値をこれからも求職者の皆さまに提供していくことが、コンサルタントとしての使命だと考えています。
代理人としての大胆な提案の数々、また採用担当者さまとの“つながり”など、 コンサルタントならではの貴重なお話を伺うことができたインタビューでした。宮崎さん、これからも求職者のためにがんばってください!
今回のまとめ
コンサルタントは、採用担当者と紹介先企業と深い信頼関係を築き、求職者の代理人として企業側から最大限の譲歩を引き出す提案をしてくれる。
※コンサルタントによってサポート内容は異なりますのであらかじめご了承ください。
宮崎 真(みやざき しん)
新卒で某大手銀行に入行。投資信託会社ならびに生命保険会社への出向経験を持ち、投資信託窓販業務と生命保険窓販業務双方の新規立ち上げに携わる。 また、顧客データの分析を行い、コールセンターなど各チャネルを活用したCRM戦略に携わった経験も持つ。 一方、営業担当としてもPB部門で頭取表彰を受賞するなど、銀行員としては多彩なキャリアを構築。 その後、製造業派遣・請負を主な事業とするヒロテクノス株式会社に転職。前職で構築したキャリアを生かし、転職支援事業を立ち上げ、主に同事業を担当している。
転職活動を支援するにあたり、求職者の方のキャリアパスをイメージし、どう描くことができるか、という視点からサポートすることを心掛けている。