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主任の役割とは?給料やメリット、求められる能力を詳しく解説

主任の役割とは?給料やメリット、求められる能力を詳しく解説

主任の役割とは?給料やメリット、求められる能力を詳しく解説

主任とは、現場の実務を担いながら、メンバーの指導や業務のとりまとめを行う中堅的なポジションです。プレーヤーとリーダーの両面を求められるため、一般社員と比べて責任とやりがいが大きくなります。

本記事では、主任の具体的な役割をはじめ、給料や昇進によるメリット、求められるスキルについて詳しく解説します。また、必要とされる能力や、昇進に向けて何をすべきかについても紹介するので、主任としての心構えを知りたい方はぜひ参考にしてください。

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1.主任とは?

主任とは 1

主任とは、プレーヤーとしてのスキルや経験が一定以上になった時に任される、現場のリーダー的な立場です。一般社員より一段上の立場で、業務のまとめ役としてチームを支える役割を担います。社会人として最初の肩書になることも多い役職です。

1.1.主任の位置付け

会社にはさまざまな役職がありますが、主任はどこに位置付けられるのでしょうか。一般的な役職における、主任の位置付けを確認してみましょう。

1. 一般社員

2. 主任

3. 係長

4. 課長

5. 次長

6. 部長

7. 本部長・事業部長

8. 常務取締役

9. 専務取締役

10. 副社長

11. 社長・代表取締役

主任は、一般社員の上、係長の下に位置する役職です。実務を中心に担いながら、チームメンバー(または部下)の指導や業務サポートを行います。

ただし、会社によって役職の呼称はさまざまであり、そもそも「主任」という役職を設置していない場合もあります。

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1.2.主任と係長の違い

主任とは 記事内画像 一般社員主任係長の違い

一般的に、係長は主任の1つ上の役職であり、主任を含めたチーム全体をまとめる立場です。主任よりも広い範囲を管理し、課長・部長と現場との橋渡し役も務めます。

ただし、役職の役割に明確な定義はないため、同じ「主任」や「係長」という役職であっても、任される業務は会社ごとに異なります。

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1.3.主任とリーダーの違い

会社によっては、現場のまとめ役として「リーダー」というポジションを設置していることがあります。

厳密に言うと「リーダー」は役職ではなく役割を示します。例えば「プロジェクトリーダー」や「チームリーダー」などです。会社ごとにリーダーの役割は異なるので、役職である主任と役割であるリーダーを一概に比較することはできません。

なお、会社によっては、主任や係長など現場に近い役職を「リーダークラス」、部長以上の経営層に近い役職を「マネジャークラス」と呼ぶ場合もあります。

1.4.主任は管理職に含まれる?

主任は「管理職」として扱われることはありますが、労働基準法における「管理監督者」に該当するかは会社によって異なります

まず、「管理職」に明確な基準はなく、会社によっては主任を含むリーダー的な役職のことを「管理職」と呼ぶ場合があります。

「管理監督者」とは労働基準法上「経営者と一体的な立場」として扱われ、経営に関する重要な責任を担う者を指します。「管理監督者」は労働基準法第41条と厚生労働省の行政解釈により、以下の基準が示されています。

1. 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること

2. 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること

3. 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること

4. 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること

上記に当てはまらない場合、係長は「管理監督者」に該当せず、残業代も支給されるうえ休憩や法定休日も与えられます。主任は、一般的に管理監督者には該当しないことが多いです。

このように、「管理職」と「管理監督者」は定義が異なるため、職場で「管理職」と呼ばれていても、必ずしも「管理監督者」に該当するとは限らないのです。

【出典】e-Gov「労働基準法 第四十一条」

【出典】厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」

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2.主任の役割

主任とは 2

主任は一般社員より一歩進んだ視点で業務を見渡し、チームの円滑な運営に貢献することが求められます。ここでは、主任の役割について詳しく解説します。

2.1.現場のまとめ役

主任は、現場のまとめ役としてチーム全体を支える重要な存在です。業務の進捗を把握しながら、必要な情報を適切に伝達し、メンバーが力を発揮できるようサポートします。

一般社員より上位の役職として、メンバーに指示を出したり励ましたりと、多方面にわたってリーダーシップを発揮することが求められます。

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2.2.率先して業務を遂行するプレーヤー

主任はチームをまとめるだけでなく、自ら率先して業務を進める現場の主力としての役割も担っています。一般社員が指示を受けて動くのに対し、主任は一歩先を読み、自発的に行動しなければなりません。

受け身ではなく、現場を引っ張る存在として、周囲に良い影響を与える模範的な働きぶりが求められます。

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2.3.進捗管理と上司への報告係

主任は、業務の進捗管理を任されることもあります。チームの業務量を見ながら調整を行い、トラブルが起きた場合は迅速に対応しなければなりません。

また、上司からの指示を正しく伝達する一方で、現場の進捗状況やメンバーの意見を上司に報告することも求められます。進捗管理と情報の伝達を通じて、組織全体の円滑な運営に貢献する存在です。

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2.4.新人や後輩のサポート役

主任は、新人や後輩を支えるサポート役でもあります。これまでに培った経験と知識を生かし、現場の最前線で一般社員の指導や育成を行うことが求められます。

課長や部長などの役職は広範囲を管理しなければならず、細かい現場の情報をすべて把握するのは難しいため、メンバーに最も近い立場にいる主任が、日々の業務状況を把握しながら適切なフォローを行う必要があります。

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3.主任になるメリット

主任とは 3

主任になると一般社員よりも責任が増えますが、一方でさまざまなメリットを感じられるはずです。ここでは、主任になる主なメリットを3つ紹介します。

3.1.仕事の幅が広がる

主任になると任される仕事の幅が広がり、自分で判断し行動できる場面も増えてきます。これは、経験やスキルが一定以上と評価されている証であり、一般社員では担当しないような難度の高い業務を任される機会も多くなります。

責任が増す一方で、自分の力が発揮できる実感が得られるため、やりがいや達成感も大きく、仕事へのモチベーション向上も期待できます。

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3.2.キャリアアップの足掛かりになる

指示された業務をこなすことが多い一般社員とは違い、主任は自ら考えて行動する機会が増えるため、判断力や対応力といった実践的なスキルが磨かれていきます。こうした経験の積み重ねが、キャリアアップへの足掛かりになります。

主任としての実績や成果が評価されれば、次のポジションへの道が開きやすくなるでしょう。

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3.3.年収がアップする可能性がある

主任に昇進すると、会社によっては「主任手当」などが支給され、年収がアップする可能性があります。

年収が増えることで仕事への意欲も高まるかもしれません。ただし、すべての会社で手当が支給されるわけではないため、制度の有無は事前に確認が必要です。

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4.主任の給料について

主任とは 4

一般社員よりも上の役職である主任には、どれくらいの給料が支給されるのでしょうか。ここでは、主任の給料について紹介するとともに、残業代支給についても解説します。

【出典】厚生労働省「役職、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額、表番号1」
※令和6年賃金構造基本統計調査より企業規模計のデータを参照。平均年収は「きまって支給する現金給与額」に12を乗じ、「年間賞与その他特別給与額」を加算して算出。

4.1.主任の平均給料と平均年収は?

令和6年賃金構造基本統計調査によると、一般社員(非役職者)と係長級の平均給料(月額)および平均年収は以下のとおりです。

一般的に、主任は一般社員と係長の間のポジションであることから、給料や年収も両者の間くらいになると想定されます。

企業規模計(10人以上)

平均給料

(千円)

平均年収

(千円)

一般社員(非役職者) 334.2 4,848.8
係長級 430.6 6,578.6

ただし、人事制度や評価基準は会社ごとに異なるため、主任と一般社員の待遇がほとんど変わらなかったり、逆に主任と係長の給与水準が同程度に設定されていたりするケースもあります。

【出典】厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

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4.2.主任に残業代は支給される?

前述したように、残業代の対象外となる「管理監督者」には明確な法的要件があり、多くの場合、主任はその基準を満たさないため、残業代が支払われる可能性は高いでしょう。

たとえ会社で「管理職」と呼ばれていても、「管理監督者」としての実態が伴わなければ残業代の支給対象となります。もしも、「管理職だから」という理由で残業代が支払われない場合は、「管理監督者」の基準をすべて満たしているかをしっかり確認する必要があります。

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5.主任に求められる能力

主任には、リーダーシップやコミュニケーション能力、問題解決能力などが求められます。ここでは主任に必要な能力について詳しく解説します。

5.1.チームをまとめるリーダーシップ

主任には、チームを円滑にまとめるためのリーダーシップが求められます。係長のようなマネジメントを担うほどの権限はないものの、現場に最も近い立場として、メンバーを動かす実行力が必要です。

リーダーシップを身に付けるには、メンバーが戸惑っている時に自ら率先して動いたり、チーム内で意見が分かれた際に間に入って調整したりと、視野を広く持って積極的に行動する意識が大切です。

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5.2.上司や部下との連携を図るコミュニケーション能力

主任は、上司からの指示を正確にチームへ伝える一方で、現場の声を迅速に上司へ報告しなければなりません。そのため、多くの人とスムーズなやりとりを行える高いコミュニケーション能力が必要です。

この能力を高めたい場合、まず日常的なあいさつや声掛けを意識しましょう。また、普段から相手の話に耳を傾ける姿勢を持つことで、メンバーから報告・連絡・相談がしやすい関係が生まれ、自然とコミュニケーションの質も高まっていきます。

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5.3.トラブルを冷静に処理する問題解決能力

現場では、業務の遅延やメンバーのミスなど、さまざまなトラブルが発生します。このとき主任が慌てて感情的な判断をすると、かえって事態を悪化させてしまう恐れもあるため注意が必要です。

トラブルが起きた際は、まず事実を正確に把握し、原因を分析したうえで、いつまでにどのような対応をするかを判断しなければなりません。

こういった冷静な問題解決能力を身に付けるには、過去の事例を振り返って対処法を学んだり、「5W1H」で物事を整理するクセをつけたりすることが有効です。

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6.主任から昇進を目指すために必要なこと

主任として経験を積んでいく中で、次のステップを意識し始める人も多いでしょう。主任から昇進を目指すには、日々の業務をこなすだけでなく、視野を広げ、組織全体を見渡す意識も必要になります。

6.1.与えられた指示から意図を読み取る

主任から昇進を目指すには、上司からの指示や業務の意図を正しく理解し、期待されている成果を確実に出すことが重要です。ただやみくもに行動するのではなく、何を求められているのかを読み取り、それを形にしなければなりません。

例えば、「会議の準備を頼む」と指示された場合、単に資料を印刷するだけでなく、上司に相談したうえで、参加者の役職や目的を考慮した議事進行案を用意し、必要であれば事前に調整を行うなど、状況に応じて対応することが評価につながります。

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6.2.チーム全体を見渡す視野を持つ

主任は、自ら手を動かして業務をこなす「プレーヤー」としての役割が大きく、自分の成果がそのままチームの成果につながる場面も多くあります。しかし、係長や課長になると、部下に仕事を割り振り、チーム全体をマネジメントする機会が増えていきます。

そのため、「自分がどう動くか」だけでなく、「チームをどう動かすか」という視点を持つことが大切です。

業務の進捗が遅れているメンバーをフォローしたり、会議で全員の意見を整理したりするなど、チーム全体が前向きに動ける環境作りを意識しましょう。

6.3. メンバーの育成に力を入れる

プレーヤーとしてのスキルが高いだけでは、次のステップである係長や課長の役割を担うには不十分です。なぜなら、上位職では管理を任されているチーム全体の成果を上げることが期待されるからです。

また、会社は周囲を育て、メンバーの力を引き出せる人材を次のリーダーにしたいと考えます。そのため、主任の段階からメンバーの育成に取り組み、指導力とサポート力をアピールすることが大切です。

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7.主任経験を生かしたキャリアの選択肢

主任経験を生かしたキャリアの選択肢としては、今の職場で更に上位の役職を目指す道もあれば、その経験を武器にして別の会社へ転職する道もあります。自身の強みや働き方の希望に合わせて、どのような選択肢が最適かを考えることが大切です。

7.1.現職で実績を積み昇進を目指す

前項で解説したポイントを押さえ、現職で更なる実績を積めば、係長や課長などへの昇進を目指すことが可能です。

人間関係や業務内容に慣れており、自身の強みが評価されやすい点は大きなメリットです。これまでに構築した信頼関係を生かして、マネジメントスキルやリーダーシップを段階的に伸ばせる環境も整っています。

一方で、昇進のペースが会社の人事制度やポジションの空きに左右されるケースもあり、タイミングによっては長期間昇進のチャンスが巡ってこない可能性がある点はデメリットと言えます。

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7.2.転職ではプレーヤーとしての実績が重要

これまでに培った経験を生かして、新しい会社へ転職するのも選択肢の一つです。

ただし、主任という役職は本格的なマネジメント経験者とは見なされないことがありますが、マネジメント力を求めている場合は、メンバーの指導経験やチームの進捗管理などを、具体的にアピールしましょう。

転職を有利に進めるには、企業が求めている人材を見極めたうえで、関連する業務実績、業務改善、専門スキル、指導経験などを具体的に示すことが重要です。主任が転職する際は、「誰をまとめたか」だけでなく「何を達成したか」が問われます。

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8.まとめ

主任は、プレーヤーとしての実務力に加え、チームを支えるリーダーシップや調整力も求められる重要なポジションです。給料面では一般社員より上がる可能性がある一方で、責任や期待も大きくなります。

業務の全体像を把握し、メンバーの指導や業務のスムーズな進行に貢献する姿勢が必要です。自ら何をするべきかを考えて主体的に行動し、チーム全体の成果を向上させることで、主任からの更なるステップアップも可能になるでしょう。

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監修:谷所 健一郎さんのプロフィール画像

監修:谷所 健一郎

キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)/有限会社キャリアドメイン 代表取締役

1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」、「転職者のための面接回答例」、「転職者のための自己分析」(いずれもマイナビ出版)ほか多数。