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給料から税金が引かれすぎ?その理由と対策

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Vol. 2 2025/01/16
給料から税金が引かれすぎ?その理由と対策

給料から税金が引かれすぎ?その理由と対策

毎月の給料明細を見て、「こんなに税金が引かれているの?」と驚いたことはありませんか?額面は高いのに、手取りが思ったより少ないと感じることもあるでしょう。

実は、給料から引かれる税金や社会保険料にはさまざまな理由があります。

給与から何が引かれて口座に振り込まれているのかをちゃんと把握することは、日々の仕事やお金に対する意識を高める上でも大切ですし、ましてや転職活動に際しては、求人情報の給与欄、または提示された労働条件から自身の生活を正しくイメージする上でも必要不可欠です。

給与から何が引かれているのか、給与に関係する主な用語の正確な理解など、この機会に改めて確認してみましょう!

給料から税金が引かれすぎていると感じる理由

国税庁の調査によると、2024年の日本人の2024年の日本人の平均給与は約460万円になります。

2021年の平均給与である436万円からは増加しており、20年前の平均給与は465万円でしたので、長期的には給与が減少している傾向が見られましたが、最近のデータでは回復傾向にあるようです。

出典:令和5年分民間給与実態統計調査結果について

給与明細の「額面」と「手取り」の違い

給与に関してよく話題にのぼるのが「額面」と「手取り」です。

そのほかにも「年収」「収入」「所得」など、聞いたことはあっても違いを説明するのが難しいワードがいくつかあります。一つひとつ違いをみていきましょう。

「額面」とは?

額面とは、支給される給与(基本給や残業代、交通費、各種手当などの合計)から税金などが引かれる前の金額のことで、給与明細上は“総支給額”や“支給額合計”などと記載されていることが多いです。

これが、月で言えば「月収」、年間では月収に賞与を足した「年収」にあたります。ちなみに、「収入」は年収とほぼ同じ意味の言葉として使われます。

「手取り」とは?

手取りは、額面から税金や保険料などを差し引いて実際に口座に振り込まれる金額のことで、給与明細上は“差引支給額”や“銀行振込額”と記載されています。

「所得」とは?

所得とは、会社員の場合「給与所得」といい、年収から必要経費(給与所得控除)を差し引いた金額のことを指します。

額面から手取りでは、何が引かれている?

では、額面から手取りとして受けとる金額では何が引かれているのでしょうか。

引かれているものは、給与明細上“控除”の項目に記載されており、大きく「税金」と「社会保険」に分けられます。それぞれみていきましょう。

税金の種類

給与から控除(天引き)されている税金には「所得税」と「住民税」があります。 所得税はその年の所得に対してかかり、国に納める税金です。

源泉徴収により毎月の給与から概算で控除され、年末調整によって正確な税額が清算されます。住民税は前年の所得に対してかかる都道府県・市区町村など地方自治体に納める税金で、6月から翌年5月までの給与から控除されます。

社会保険の種類

給与から控除されている社会保険は主に「健康保険」「介護保険」「厚生年金」「雇用保険」です。

健康保険は会社によって異なり、健康保険組合、共済組合、協会けんぽのいずれかに加入し控除がされています。介護保険は40歳以上から控除対象となります。

厚生年金は、法人であれば公的年金として必ず加入しています。雇用保険は失業時の失業給付金支給や再就職を援助する制度で、経営者である社長や役員などは加入することができません。

会社によっては上記の税金と社会保険以外にも、独自の制度や財形貯蓄、持株会などによって控除されている項目もあります。給与明細では、振込額だけでなく“控除”の欄をぜひ確認してみましょう。

「年末調整」と「源泉徴収票」の役割

毎月手にする給与明細とは別に、年末になると「年末調整」が行われ「源泉徴収票」が配布されるかと思います。この源泉徴収票も給与明細同様、みなさんの収入を把握する大切な書類です。

年末調整では、納め過ぎや納め足りなかった所得税の清算が行われます。

毎月の給与から天引きされている所得税はあくまで概算で、正式な税額はその年の年収や納めた保険料などをもとに計算がされます。

そのため通常12月に年末調整が行われ、その結果が源泉徴収票に記載されます。

みなさんの収入に直結している所得税ですが、経理業務などを担当している人以外は所得税がどのように決まっているかわからない人も多いのではないでしょうか。

税金が引かれる仕組み

「所得税」は、その名の通り所得に対してかかる税金ですが、みなさんの給与すべてが課税の対象になっているわけではありません。

その仕組みを収入が給与のみの会社員を例にみてみましょう。

「給与所得」と「給与所得控除」

会社員の場合、年収から「給与所得控除」を引いた金額が「給与所得」になります。

源泉徴収票では、“支払金額”の欄に年収が、“給与所得控除後の金額”の欄に給与所得が記載されています。

【給与所得=収入(年収)-給与所得控除額】

給与所得控除は、会社員の“勤務にかかる経費”として自動的に差し引かれる(控除される)ものです。差し引かれるといっても、給与明細における“控除”の意味合いとは少し異なり、実際に徴収されたり納めたりする必要があるお金ではなく、所得税を計算する際に課税されない分のことです。

自営業の場合、仕事に必要な備品や打ち合わせ代を経費として計上することができますが、会社員の場合にはスーツやネクタイなど業務に必須のものでも会社から経費としてお金が出ることは基本的にありません。

それらを踏まえ、会社員の経費を一律で決め、その分は課税対象にしないというのが「給与所得控除」です。給与所得控除は、収入に応じて下記表から算出します。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合は650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
1,000,000円超 2,200,000円(上限)

※出典:国税庁ホームページ「給与所得控除」

例えば、月収30万円、賞与3ヶ月分の会社員の年収は30万円×12ヶ月+30万円×3ヶ月=450万円。給与所得控除は450万円×20%+54万円=144万円。

よって、給与所得は450万円-144万円=306万円となります。

この給与所得をベースに所得税が算出されますが、所得税を計算するにあたり、さらに「所得控除」という制度が適用されます。

「所得控除」とは

「所得控除」は所得税法の制度で、所得税額を計算する際に所得から控除することができるもの(課税されないもの)です。

この制度により、各納税者それぞれの事情を考慮して納税額が調整されています。

「所得控除」の種類

所得控除は以下の14種類があります。

  1. 基礎控除
  2. 配偶者控除
  3. 配偶者特別控除
  4. 扶養控除
  5. 障害者控除
  6. 寡婦(寡夫)控除
  7. 勤労学生控除
  8. 社会保険料控除
  9. 生命保険料控除
  10. 地震保険料控除
  11. 小規模企業共済等掛金控除
  12. 医療費控除
  13. 雑損控除
  14. 寄附金控除

 

例えば、基礎控除はすべての納税者に適用され38万円が控除されます。

社会保険料控除は社会保険料を支払った支出額分、寄附金控除はふるさと納税など国や地方公共団体などに対する寄付金を支払った場合に適用されます。

項目によって控除額は異なりますので一概には言えませんが、この所得控除に該当する項目が多くなるほど課税対象の所得額が減り、納める税金は少なくなるという仕組みです。

源泉徴収票では、“所得控除の額の合計”という欄で自分がいくら所得控除を受けているかがわかります。

これらの所得控除を給与所得から差し引いた金額が課税対象となる「課税所得」となり、この課税所得に下記所得税率をかけてぞれぞれの所得税額が決まります。
(厳密には、ここに復興特別所得税額が加わり、一部の対象者は「税額控除」が差し引かれ所得税額が算出されます)

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超え 45% 4,796,000円

※出典:国税庁ホームページ「給与所得控除」

給料から税金が引かれすぎていると感じる原因

多くの人が給料から引かれる税金や社会保険料に対して不満を感じることがありますが、以下の内容が反映されている場合があります。

所得控除の不足

所得控除は、課税対象となる所得を減らすためのものです。控除が適用されない場合、課税所得が高くなり、結果として税金が多く引かれることになります。例えば、扶養控除や医療費控除などを適用していない場合、税金が高くなる可能性があります。

誤った税率の適用

給与計算の際に誤った税率が適用されることがあります。特に、年末調整や確定申告の際に正しい情報が反映されていない場合、過剰に税金が引かれることがあります。

社会保険料の計算ミス

社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険など)の計算ミスも、給料から引かれる金額が多くなる原因の一つです。特に、給与の変動があった場合や、保険料率の変更が反映されていない場合に発生しやすいです。

特別徴収の影響

住民税の特別徴収(給与からの天引き)も、給料から引かれる金額が多く感じる要因です。住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、前年の所得が高かった場合、住民税が多く引かれることになります。

これらの原因を理解し、適切な対策を講じることで、給料から引かれる税金や社会保険料を適正な範囲に抑えることができます。次に、具体的な対策について見ていきましょう。

税金を減らすための対策

給料から引かれる税金が多いと感じる場合、いくつかの対策を講じることで負担を軽減することができます。以下に、税金を減らすための具体的な方法を紹介します。

所得控除を最大限に活用する

所得控除は、課税対象となる所得を減らすためのものです。扶養控除、医療費控除、生命保険料控除など、適用可能な控除をしっかりと確認し、申請することで税金を減らすことができます。

確定申告での控除申請

年末調整で反映されなかった控除を確定申告で申請することができます。特に、医療費控除や寄付金控除などは確定申告で申請する必要があります。

節税対策を実施する

節税対策として、ふるさと納税やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用することが考えられます。これらの制度を利用することで、所得控除を受けることができ、結果として税金を減らすことができます。

税務相談を利用する

税務署や税理士に相談することで、自分に適した節税対策を見つけることができます。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な対策を講じることができます。

これらの対策を実施することで、給料から引かれる税金を適正な範囲に抑え、手取り額を増やすことができます。自分の状況に合った方法を見つけ、賢く税金を管理しましょう。

給与明細や源泉徴収票は内容をしっかり確認!

会社員の場合、月々の保険料の納付や所得税の計算、納税までを会社が自動的に処理してくれています。

また源泉徴収と年末調整により、確定申告も不要です。(年収2,000万円を超える人、給与・退職金など以外の所得が20万円を超える人、複数の会社から給与を受け取っている人などは確定申告が必要です)
そのため、毎月もらう給与明細も形式化してしまい、中身を細かくチェックすることもあまりなくなってしまうかもしれません。

しかし、自身の働きに対してどれだけの対価が支払われて、将来のためにどれくらいの税金や保険料を納めているのか把握することは大切なことです。

日々の仕事やお金への意識を少し変え、また転職も含めた様々なライフイベントに備えるためにも、毎月給与明細の内容を確認する習慣をつけてはいかがでしょうか。

 

Q&Aまとめ 最後にポイントをおさらいしよう
額面は月収(年収)、手取りは口座振込額

額面は給与の総支給額をあらわし、月収や年収のこと。手取りは給与の総支給額から税金や保険料を天引きした後の口座振込額のこと。

給与から天引きされているのは税金と社会保険がメイン

額面の総支給額から引かれているものは、所得税や住民税の税金、健康保険や厚生年金などの保険料。本来自身で納めるべきものを会社が代わりに国や地方自治体に納めている。

給与明細や源泉徴収票の内容をしっかり確認しよう

自身の給与がいくらかはもちろん、控除の欄で何がいくら引かれていて、自分が国などに納めているお金は何なのかをしっかり把握して、日常的に仕事やお金に対する意識を高めつつ、転職も含めた様々なライフイベントに備えよう。

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