特集
社会人生活を送る中で避けられない話に出世があります。実力主義による出世傾向が強まりつつも、多くの会社では、ある程度評価されている社員の中から年功序列で出世のタイミングがやってきます。
会社によって出世スピードは異なりますが、「○年目で主任、×年目で係長…」といったように大体の時期があります。
ただ、価値観の変化によって、その時期がやってくる際に 「出世したくない」 という価値観も生まれてきました。
よく語られる理由として
・責任が重くなるのが嫌だ
・自分の上司たちを見ていて、なりたくないと思った
・プレイヤーとしてのスキルを伸ばす方が市場価値的に有効
・プライベートの時間が削られる
・そもそも、適性がないと思っている
といったものがあります。
現在は価値観の多様化と尊重がされつつあるので、理由の納得性も相まって「出世したくない」といった価値観も広がりを見せていますが、この価値観は一般的だと思いますでしょうか。
とは言っても、「やっぱり出世していきたい」の価値観の方がまだ一般的ではないかと思うところがあり、今回は出世に関するアンケートを取りました。
出世に対する世の中の価値観を知ることで、社会人生活の知恵としてお役に立てればと思います。
出世したくない:36.7%
出世したい:63.3%
となりました。出世したくないという価値観にフューチャーされることが多いので、「出世したくない人が大半なんだ」と思ったかもしれませんが、現実を見ると多くの方が出世したいと考えているという結果になりました。
新しい価値観が生まれた際にそれに対して否定的な考えを持ったり反対側の意見を主張しすぎると「多様性に欠ける」「クールじゃない」と言われてしまうことがあるため、声を大にして「自分は出世したい!」と言う人は減りつつも、心の中で「出世したいけどね」と思う方が増えたのかもしれません。
ただ、年代ごとに見たら異なる結果になっているかもしれませんので、年代ごとの割合も見ていきます。
出世したくない:20%
出世したい:80%
昔よりも「自分出世したいです!」といった自己主張の強い人は減っている傾向にあると感じるため、
上司目線だと「出世したいとも言わない=まぁそこまで出世にこだわりはないのかな」と考えたかもしれませんが、口にはせずとも出世したいと考えている方は多いようです。
理由は様々だと思いますが、
・スキルだけで生きていける程あまくない。ピープルマネジメントもできるようにするために出世したい
・立場のあるポジションの方がより安定する
・給与増やすなら出世は避けられない
などが多いかと思われます。 いずれにせよ、「最近の若い人は出世願望ないよね」と一括りにしてしまうのは安直かもしれません。
出世したくない:36.4%
出世したい:63.6%
となりました。36%が出世をしたくないと考えているようです。割合で見ると少数派になりました。
過去から定点的に集計していないので、現在値でしか分かりませんが、恐らく昔よりも出世したくない人の割合は増えているのではないでしょうか。
・結婚をして子供がいるから、家庭を大事にしたい。出世して仕事に時間がとられるのは辛い
・管理職にならなくても、スキルと実績で相応の給与がもらえる
・プロパーの強い会社に転職した組として出世をガツガツ狙っていける環境ではない
・仕事仕事しなくても、充分やっていけるからなぁ
といったことが裏にあるように思えます。
そして多数派となった「出世したい」は63%となりました。20代の頃とはライフステージが変わった方も多くなったり、「お金が必要だから出世したい」の欲があるように思えます。
また、30代は出世する人としない人が分かれる世代です。やはり自分だけ出世しない状況というのも気持ち的に納得できないため、そうはならないように出世はしておきたいと思うのかもしれません。
出世したくない:37.6%
出世したい:62.4%
となりました。37%が出世をしたくないと考えているようです。割合で見ると少数派となります。
40代以降になると、既に出世するかしないかはおおよそ決まっている年代です。そのため、
現在既に出世している人:今のレイヤーで充分
出世していない人:今更出世には興味がない
といった分かれ方をするのではないでしょうか。
良くも悪くも、将来が予測できる年代であるため、そういった現実的な予測もしながら、出世に対する考えも持っているように思えます。
一方で62.4%が出世をしたいと考えているようです。現在40代以降の年齢になるため、「一般職→主任レイヤー」といったステージではなく、「課長→部長」「部長→統括部長」「役員」といったもう少しステージの違う出世になると思います。
そのため、役職者としてのステージを変えてきた経験があるからこそ、その良さも享受しつつ、更に上を目指したくなっているのだと思います。
また、年代的にも子供が生まれたばかり、小学生というよりかは中学生、高校生、大学生といった区分に差し掛かっているため、手がかからなくなってきているのも要因として上がってきていると思います。家庭には一定目を向けつつも、昔よりは目を向けなくても大丈夫になったからこそ、仕事の方に力が入れられるため、その1つの目標として出世があるのかもしれません。
絶対に出世を拒否する:10.6%
本当は嫌だが、その時がきたら出世を引き受ける:38.3%
ある程度仕方ないと思い、出世を引き受ける:51.1%
となります。こちらは出世をしたくない人たちによる結果です。約90%が気持ちの強弱はあれど、出世を引き受けると回答されています。こういった結果からも、もしかしたらあなたの上司も「出世したくないけど、出世しちゃった…」といった背景を持っているかもしれません。
ただ、出世を望まない人が36.7%でその中の10%が絶対に出世を拒否すると回答されていることからも、出世に対して本当に拒否する意向のある割合は3%程度になります。そのため、まだまだ少数派の回答と言えます。
同年代よりも早く出世したい:16%
同年代基準で出世したい:18.5%
時期にこだわりなく出世できればいい:65.4%
となりました。野心的に出世を望むのは16%であり、他84%は一般的なペースで出世が出来ればよいと考えているようです。ただ、84%の内訳をみると18.5%は同年代基準で出世を望むことからも、その辺りを気にされている方も一定数います。
全体の内、65.4%が時期にこだわりなく出世を望むことからも、同年代と競っていくみたいな思考は少数派になります。
これは、時代の移り変わりによる影響も考えられます。
・転職組ということもあり、プロパーの出世スピードとは異なってしまう
・転職組ばかりであり、単純に年齢による出世だと計れない
・「出世しないと年収が上がらない」
ではなくなったため、時期がきたら出世できれば良い などがあるように思えます。
1位:プライベートを重視したいから
1位:出世争いに興味がないから
3位:給与が増えないから
となりました。1位は同率で「プライベートを重視したいから」「出世争いに興味がないから」になります。昨今は働くだけじゃなくて、プライベートも重視したい傾向が強いように感じていましたが、結果としても1位になりました。
「娯楽の幅が広がった」「SNSの発達」「価値観の多様化」などにより、社会人になったら当たり前のように会社にリソースを注ぎまくる雰囲気から変化があったと思われます。
同率1位になった「出世争いに興味がないから」についてですが、その多くが本質ではないことにリソースを注ぐことになります。また、それに伴い精神を擦り切るようなことをしたくないことがあるように思えます。
3位の「給与が増えないから」については、恐らくプレイングマネージャーになってしまうことが原因にあると思われます。今の仕事もしながら、マネジメントもするのにもかかわらず、マネジメント分の給与が増えないため、出世したくないことに繋がっていると思われます。
1位:給与が増えるから
2位:マネジメント経験を積みたいから
3位:成長機会を得られるから
となりました。1位は他と票を離して、「給与が増えるから」になります。会社としては「お金の為に仕事をする」というスタンスをあまり好まない傾向がありますが、現実は「出世したい理由はお金だし、マネジメントするのもお金をその分払ってくれるから」があるようです。
昨今は役職的な出世をせずとも、プレイヤーとして年収を上げていける会社が増えてきています。しかしながら、そういった先端なことをしているのは一部の企業であり、多くの企業は役職と年収が比例していく傾向にあります。
プレイヤーとして年収を上げていける環境が一般化すれば、この結果も変わってくるかもしれません。
2位は「マネジメント経験を積みたいから」3位は「成長機会を得られるから」になりました。
こちらのインサイトは近しいところにあると思われます。
・自身のスキルを上げていくことが市場価値に繋がり、それが結果的に年収にも繋がってくる
・仕事自体に面白みを感じており、新しいことにチャレンジにしていきたい
辺りが気持ちとしてあると思われます。
昨今、「出世をしたくない」という価値観が広がりを見せていますが、現状は少数派の意見だと分かりました。
また、各年代で集計しても同様の結果であったため、全年代がそのように感じています。
出世をしたくない層は
・プライベート重視
・出世争いに興味がない
が主な理由となります。
出世をしたい層は
・給与が増えるから
・経験を積みたい、成長したい
が主な理由になります。この辺りは価値観によるため、どっちが良いというわけではありませんが、マネジメントポジションにある方は、部下のインサイトを知るためにも参考になっていれば幸いです。
調査方法/インターネット調査
実施期間/2025年1月31日~2025年2月6日、回答数128名
プロフィール マイナビスカウティング編集部
「求職者第一の情報を届ける」をモットーに独自に取材・分析をした記事を掲載しています!