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M&Aコンサルタントとは?仕事内容や年収、求められるスキルを解説

M&Aコンサルタントとは?仕事内容や年収、求められるスキルを解説

M&Aコンサルタントとは?仕事内容や年収、求められるスキルを解説

M&Aコンサルタントは、企業の買収や売却などを支援し、経営課題の解決と事業成長をサポートする職種です。M&Aの検討から相手企業の選定、企業価値評価、条件交渉、契約締結、成立後の統合支援まで、所属先や担当領域に応じて幅広い業務に携わります。

本記事では、M&Aコンサルタントの仕事内容や年収、求められるスキル、役立つ資格、仕事のやりがいや厳しさ、M&Aコンサルタントになる方法について詳しく解説します。

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Contents

1.M&Aコンサルタントとは?

M&a コンサルタント 01

M&Aコンサルタントは、M&A( Mergers and Acquisitions:企業合併・事業買収)を検討する企業に対してM&A戦略の策定や相手先の選定、企業価値評価、条件交渉、契約締結など、一連のプロセスを支援する専門家です。ここでは、M&Aコンサルタントの役割や混同しやすい職種との違い、主な勤務先について解説します。

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1.1.M&Aコンサルタントの役割

M&Aコンサルタントの主な役割は、企業を譲渡する側・譲受する側それぞれの目的や状況を踏まえ、企業価値評価、条件交渉、契約締結などを支援することです。業務範囲によっては、M&A成立後の統合プロセス支援(PMI)に携わる場合もあります。

M&Aを長期的な経営戦略の一環として捉え、成約後の持続的成長や企業価値の向上を見据えて助言を行う点が大きな特徴です。

財務・法務・税務・経営などの幅広い知識に加え、関係者の意向を調整しながら、M&Aの各プロセスを円滑に進めていく力が求められます。

1.2.M&AコンサルタントとM&Aアドバイザーの違い

M&AコンサルタントとM&Aアドバイザーは、どちらもM&Aを支援する専門家です。両者をほぼ同じ意味で用いる場合もあり、企業によって呼称や業務範囲は異なります。それぞれの役割に見られる傾向をもとに違いを整理します。

M&Aコンサルタントは、企業の経営課題や成長戦略を踏まえ、M&A戦略の策定から候補企業の選定、条件交渉、契約締結まで、M&Aのプロセスを幅広く支援する職種です。更に、M&A成立後の組織統合や事業成長に向けた支援まで担当するケースもあります。

一方、M&Aアドバイザーの主な仕事は、M&Aに関する専門的な知識を生かして、依頼企業の目的や状況に応じた提案や実務面のサポートを行うことです。M&Aの戦略策定や相手先の選定、企業価値評価、条件交渉、契約締結など、各段階で必要な手続きを支援します。

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)として、売り手または買い手の一方と契約し、その依頼者の立場から支援する場合もあります。

ただし、こうした区分は明確に統一されているわけではありません。求人を確認する際は、職種名だけで判断せず、具体的な業務範囲や支援する立場を確認することが重要です。

1.3.M&Aコンサルタントの主な勤務先

M&Aコンサルタントの勤務先には、M&A仲介会社やコンサルティングファーム、金融機関など、さまざまな選択肢があります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

主な勤務先

特徴

M&A仲介会社

売り手と買い手の双方と契約し、相手企業の開拓から条件調整、成約まで幅広く携わる

コンサルティングファーム

M&A戦略の策定から候補企業の選定、デューデリジェンス、PMIまで関わる

FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)

財務・税務・会計の高度な専門性を生かし、企業価値評価や財務デューデリジェンス、M&Aに関する助言などを行う

金融機関

メガバンク・投資銀行・証券会社など金融機関独自のネットワークと知識を生かし、案件の発掘、条件交渉、契約締結、資金調達などを支援する

会計事務所

企業価値評価や財務・税務デューデリジェンスなどを支援する

事業会社の経営企画・M&A部門

自社の経営戦略に基づいて、M&A候補企業の調査や社内外との調整、交渉、PMIなどを進める

このように、勤務先によって業務内容や専門性は異なります。

例えば、M&A仲介は、売り手と買い手の間に立ち、それぞれの希望や条件を確認しながら、双方が納得できるよう合意形成を支援するのが特徴です。

一方、M&AにおけるFAは、売り手または買い手のどちらか一方と契約し、依頼者側の立場から助言や交渉支援を行います。依頼者の目的や希望条件を踏まえ、依頼者にとってより良い条件での成約を目指すのがFAの役割です。

M&Aコンサルタントを目指す場合、職種名だけで判断せず、業務範囲や顧客との関係性、評価制度などをしっかり確認し、自分の希望条件に合った勤務先を検討することが大切です。

特に、案件の新規開拓を担うのか、企業価値評価などの分析業務を担当するのか、成約後のPMIまで関わるのかによって、仕事の進め方や求められる能力は異なります。

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2.M&Aコンサルタントの仕事内容

M&aコンサルタント 02

M&Aコンサルタントの仕事内容は勤務先によって異なりますが、M&Aを円滑に進めるための業務には共通する部分も多くあります。

M&Aコンサルタントは、M&A戦略の策定から候補企業の選定、条件交渉、契約締結、成立後の統合プロセス支援までさまざまな業務を担当します。

ただし、一人ですべてを担当するとは限らず、勤務先や案件によって担当範囲は異なります。ここでは、代表的な仕事内容を見ていきましょう。

2.1.M&A戦略の策定

M&A戦略の策定は、プロジェクト全体の成否に関わる重要な初期プロセスです。

まずはクライアントへのヒアリングを通じ、買い手側であれば「新規事業参入」「既存事業のシェア拡大」など、売り手側であれば「事業承継」「不採算事業の切り離し」といったM&Aの目的を明確化し、本当にM&Aが最適な手段なのかを検証します。

そのうえで、市場規模や成長性、競合企業の動向などを調査し、M&Aによって期待できる効果を分析します。これらの分析結果を踏まえ、具体的なスケジュールや手法(株式譲渡や事業譲渡など)、予算枠、資金調達の方向性を策定するのが一般的な流れです。

2.2.M&A候補企業の選定

M&Aの目的に合った候補企業を選定するのも、M&Aコンサルタントの重要な仕事です。

まず、独自のデータベースや業界ネットワーク、公開情報などを活用し、条件に合致する企業を幅広くリサーチしながら候補企業を抽出します。

その後、候補企業の業績や事業内容、地域、経営方針などを比較・検討してアプローチする企業を絞り込みます。財務面だけでなく、事業の親和性や期待できる効果なども考慮することがポイントです。

2.3.企業価値の評価・デューデリジェンス

M&Aコンサルタントは、対象企業の財務状況や事業内容、将来の収益力などを分析し、企業価値を算定します。過去の業績だけでなく、事業の成長性や市場環境なども踏まえながら情報を整理する必要があります。

また、財務・税務・法務・事業・人事・ITなどの観点から、対象企業の実態や取引上のリスクを詳しく調査するデューデリジェンスも重要な仕事です。

ただし、これらの業務はM&Aコンサルタントが単独で行うとは限らず、必要に応じて弁護士、公認会計士、税理士など各分野の専門家と連携し、調査の進行管理や結果の取りまとめを担う場合もあります。

2.4.条件交渉・契約締結のサポート

M&Aの候補企業が決まった後は、売り手と買い手の間で具体的な条件を調整し、最終的な契約締結へと進みます。このプロセスでは譲渡価格をはじめ、譲渡範囲や支払方法、役員・従業員の処遇、更には表明保証などの詳細な交渉が行われます。

双方の希望に隔たりがあるケースもあるため、M&Aコンサルタントはていねいに意向を聞き取り、両社が納得して合意できる着地点を慎重に見極めなければなりません。

諸条件について合意に達した後は、弁護士などの専門家と連携して最終契約書の作成・締結を支援します。

その後、契約で定められた条件を満たしたことを確認し、株式や事業の譲渡、代金の支払いなどを行うクロージングに向けて、必要な手続きや書類、スケジュールを管理します。

2.5.M&A成立後の統合プロセス支援(PMI)

M&A成立後は、想定していた相乗効果を十分に発揮するため、両社の統合をスムーズに進めることが大切です。

この統合プロセスはPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)と呼ばれ、M&Aコンサルタントが支援する場合もあります。

PMIでは、組織体制や経営方針を統一する「経営統合」をはじめ、業務フローやシステムの整備を進める「業務統合」、企業文化や価値観の違いによる混乱を抑えるための「意識統合」などに取り組みます。

3.M&Aコンサルタントの年収

M&a コンサルタント 03

M&Aコンサルタントは、高収入のイメージを持たれることもある職種です。ただし、実際の年収水準は一律ではなく、個人や勤務先によって違いがあります。ここでは、M&Aコンサルタントの平均年収について解説します。

3.1.M&Aコンサルタントの平均年収はどのくらい?

厚生労働省の「job tag」によると、M&Aコンサルタントが含まれる職業分類の令和7年の平均年収は1,134.6万円でした。同調査における全職種の平均年収は545.5万円(※)であり、M&Aコンサルタントの年収は全職種平均を上回る水準にあることがうかがえます。

ただし、この数値はM&Aコンサルタントだけを対象としたものではなく、関連する職業を含めた集計結果です。あくまで年収水準を知るための参考値として捉えると良いでしょう。

※令和7年賃金構造基本統計調査から、きまって支給する現金給与額に12を乗じ年間賞与その他特別給与額を加算して算出(企業規模計10人以上、男女計、学歴計)。

【出典】厚生労働省|job tag「M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー」

【出典】厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査|学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」

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3.2.M&Aコンサルタントの年収に差が生じる主な要因

M&Aコンサルタントの年収は、実績や報酬制度などによって異なります。主な要因として次の点が挙げられます。

・成約件数・成約金額

・経験・役職

・担当する案件・業務内容

・新規案件の開拓実績

・勤務先の業態や報酬制度

特に、M&A仲介会社では、案件の発掘から成約までの実績がインセンティブなどの報酬に反映されることがあり、個人の実績による年収差が大きくなる傾向があります。

また、M&A仲介会社やコンサルティングファーム、FAS、金融機関など、勤務先の業態によって報酬体系や評価制度は異なります。そのため、同じM&Aコンサルタントでも、年収水準は一様ではありません。

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4.M&Aコンサルタントに求められるスキル

M&a コンサルタント 04

M&Aコンサルタントは、財務や会計などの専門知識に加え、関係者との調整や交渉を円滑に進めるためのスキルも求められます。ここでは、M&Aコンサルタントとして働くうえで必要なスキルを解説します。

4.1.財務・会計・法務に関する知識

M&Aでは、対象企業の財務状況や事業の実態を正しく把握し、適切な条件を検討するための財務・会計知識が必要です。財務諸表を正確に読み解き、売上や利益、資産、負債の健全性を分析する能力が求められるでしょう。

取引方法によって税務上の取り扱いや必要な手続きが異なるため、税務・法務に関する基本的な知識も必要です。高度な判断が必要な場合は、税理士や弁護士などの専門家と連携して対応します。

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4.2.経営視点とビジネス理解力

M&Aでは、財務上の数値だけでなく、企業が抱える経営課題や事業の特徴を深く理解することが大切です。企業の成長戦略や業界の市場環境を見極めたうえで、M&Aによってどのような相乗効果が期待できるのかを検討する経営視点が求められます。

また、対象企業のビジネスモデルや競争力を把握し、将来の事業展開まで見通すビジネス理解力も必要になるでしょう。

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4.3.調整力・プロジェクトマネジメント力

M&Aを進めるにあたっては、売り手と買い手で希望価格や取引条件に相違が生じる場面が少なくありません。そのため、双方の意向や譲れない条件を整理し、互いが納得できる着地点を見いだす調整力が求められます。

更に、経営者や社内担当者、弁護士など多数の関係者と密に連携を取りながら、期限までに案件を進めるプロジェクトマネジメント力も重要です。

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4.4.コミュニケーション力・信頼関係構築力

M&Aでは、経営者が長年築いてきた会社の将来や、従業員の雇用に関わる重要な意思決定を支援することがあります。そのため、依頼者の希望だけでなく、不安や懸念についてもていねいに聞き取り、意向を正確に把握するコミュニケーション力が求められます。

また、財務状況や経営方針などの機密性が高い情報を扱う場面もあることから、安心して相談を任せてもらえるよう、誠実な対応を積み重ねて信頼関係を築く力も必要です。

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4.5.分析力・論理的思考力

M&Aにおいては、財務データや市場環境、事業上のリスクといったさまざまな情報を収集・整理したうえで、M&Aの方向性を検討する必要があります。

そのため、複数の情報を客観的に分析し、それぞれの関連性を整理する力が求められます。また、分析した内容をもとに、根拠のある提案や判断につなげる論理的思考力も重要です。

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4.6.高い責任感とコンプライアンス意識

M&Aは、企業の将来を左右する重要なプロジェクトです。そのため、M&Aコンサルタントには突発的な課題に対応しながらも、案件を最後まで着実に進める責任感が求められます。

また、交渉過程では財務データや未公開の経営情報など、機密性の高い情報を取り扱うこともあるため、守秘義務を徹底し、情報を適切に管理する姿勢が欠かせません。

上場企業が関係する案件では、インサイダー取引の防止を含めた高いコンプライアンス意識も求められます。

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5.M&Aコンサルタントのやりがいと厳しさ

ここでは、M&Aコンサルタントとして働くことで感じられるやりがいと、仕事をするうえで知っておきたい厳しさについて解説します。

5.1.M&Aコンサルタントのやりがい

M&Aコンサルタントとして働くなかでは、主に次のようなやりがいを感じられる場合があります。

・企業の成長や事業承継に貢献できる

・経営者と直接向き合える

・財務・経営・法務など幅広い専門性を高められる

・成果が報酬やキャリアに反映される場合がある

企業の成長や事業承継への貢献だけでなく、幅広い業務を通じて自身の専門性を高められる点も魅力です。また、勤務先の報酬制度によっては、担当案件の成約実績が報酬や昇進などの評価に反映される可能性があることも、仕事へのやりがいにつながるでしょう。

5.2.M&Aコンサルタントの厳しさ

M&Aコンサルタントは多くのやりがいがある一方で、次のような厳しさに直面することも少なくありません。

・成約実績が評価や報酬に影響することがある

・案件の進行状況によって業務が集中しやすい

・成約まで長期間を要することがある

・企業や従業員の将来に関わる重要な意思決定を支援する責任がある

・案件が途中で破談になる可能性がある

1案件あたりの影響が大きく、成約までに長期間を要することもあります。長期間にわたって進めてきた案件であっても、最終的に双方の条件が折り合わず、成約に至らないケースも少なくありません。こうした結果を受け止め、次の案件へ気持ちを切り替える姿勢も求められます。

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6.M&Aコンサルタントに役立つ資格

ここでは、M&Aの業務に役立つ資格を6つ紹介します。資格取得に向けた学習を通して、M&Aに関するさまざまな知識を体系的に身に付けられます。

ただし、M&Aコンサルタントとして働くうえで、必ず保有していなければならない資格はなく、実務においてはこれまでの経験や実績が重視される傾向にあります。そのため、資格は目指す業務に必要な知識を学ぶ手段の一つとして捉えると良いでしょう。

資格によって難易度や学習範囲が大きく異なるため、目指す業務や現在の知識に合わせて選ぶことも重要です。

6.1.公認会計士

公認会計士は、企業の財務情報を監査し、その適正性を確認する国家資格です。公認会計士試験では、財務会計論や管理会計論、監査論、企業法、租税法など、会計・財務を中心とした幅広い分野を学びます。

M&Aにおいては、企業価値評価や財務デューデリジェンスなど、会計・財務の専門知識が必要となる業務もあるため、こうした知識を体系的に身に付けたい方に適しています。

【出典】公認会計士・監査審査会「公認会計士試験」

6.2.税理士

税理士は、税務に関する専門家として税務代理や税務書類の作成、税務相談などを行う国家資格です。税理士試験では、簿記論や財務諸表論に加え、所得税法、法人税法、相続税法などの税法科目を学びます。

M&Aでは、企業の財務状況だけでなくM&Aに伴う税負担などを検討する場面もあるため、税務に関する専門知識はM&Aコンサルタントの業務にも役立つ可能性があります。

【出典】国税庁「税理士試験」

6.3.中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題を分析し、改善に向けた診断や助言を行う国家資格です。学習を通じて、財務・会計、経営法務、人事・組織、マーケティングなど、企業経営に関する幅広い知識を体系的に身に付けられます。

また、経営戦略の策定支援や財務改善、販路開拓、人材育成など、さまざまな分野で企業経営を支援する知識を学べるため、M&Aコンサルタントとして企業の経営課題を捉える際にも役立つ資格といえるでしょう。

【出典】JF-CMCA 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士制度」

【出典】JF-CMCA 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士試験」

6.4.日商簿記1級・2級

M&Aコンサルタントは、対象企業の財務諸表を確認したり、売上や利益、資産・負債などの状況を分析したりする場面があるため、簿記の知識が業務の基礎として役立ちます。

会計の基礎を実務に生かしたい場合は、2級が一つの目安です。2級では、基本的な「商業簿記」に加えて、製品の製造コストを扱う「工業簿記」も学びます。企業活動や会計の仕組みへの理解を深め、財務諸表から企業の経営状況を読み取る力を養うことにつながるでしょう。

更に1級では、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえた、より高度な会計知識を学びます。M&Aにおける企業分析や財務面からの検討に必要な知識を深めたい方にとって、学習する意義のある資格といえます。

【出典】商工会議所の検定試験「簿記」

6.5.事業承継・M&Aエキスパート認定資格

事業承継・M&Aエキスパート認定資格は、一般社団法人金融財政事情研究会が認定する民間資格です。M&Aの基礎知識や関連する会計、税制、法制などを幅広く学べるため、M&Aコンサルタントとして必要な知識を体系的に身に付ける際にも役立ちます。

試験では、事業承継関連の税制・法制に加え、M&Aの基礎知識や関連会計、M&A関連法制などが出題されます。

【出典】一般社団法人金融財政事情研究会「事業承継・M&A」

6.6.M&Aスペシャリスト資格

M&Aスペシャリストは、一般社団法人日本経営管理協会(JIMA)が認定する民間資格です。資格取得を支援する講座では、中堅・中小企業を対象としたM&Aの基本的なプロセスから、デューデリジェンス、企業価値評価、最終契約・クロージング、PMIまで、実務に関わる幅広い内容を学べます。

未経験からM&Aコンサルタントを目指す方にとっても、実務への理解を深める機会となるでしょう。

【出典】一般社団法人日本経営管理協会「M&Aスペシャリスト資格」

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7.M&Aコンサルタントとして活躍するために必要なこと

ここでは、M&Aコンサルタントとして活躍するために大切な、仕事との向き合い方について解説します。

7.1.数字と人の両方に向き合う

M&Aの実務では、財務諸表の分析や企業価値評価など、数値をもとに情報を整理・分析する力が求められます。一方で、譲渡や買収を決断する際は、企業の思いや文化など数値だけでは捉えにくい要素が関わることもあります。

そのため、客観的な視点で数値を分析しながら、関係者の事情や意向にも配慮してコミュニケーションを取ることが大切です。

7.2.経営者との信頼関係を築く

M&Aという重要な意思決定を任せてもらうには、依頼企業の経営者と深い信頼関係を築くことが欠かせません。そのためには、ビジネスパーソンとしての倫理観や専門知識に加え、相手の立場を尊重しながら誠実に対話する姿勢が求められます。

また、経営者の立場や考え方を理解したうえで、メリットだけでなく、想定されるリスクや不利益についても正確に説明する姿勢が求められます。根拠のある提案と誠実な対応を積み重ねることが、信頼関係の構築につながります。

7.3.結果が出るまで粘り強く取り組む

M&Aは、候補企業の選定や条件交渉、デューデリジェンスなど複数の工程を経て進められるため、案件によっては成約までに長い期間を要することもあります。その間、条件面での調整が難航したり想定外のトラブルが発生したりして、プロジェクト自体が停滞することも珍しくありません。

そうした困難な局面でも、課題解決に向けて粘り強く取り組むことが求められます。

ただし、成約だけを目的とせず、条件が依頼者の利益に合わない場合は、取引の中止を含めて適切に判断する姿勢も必要です。

7.4.変化やプレッシャーに対応する

M&Aでは、企業の将来に関わる意思決定を支援したり、大きな金額を扱ったりすることもあるため、責任の重さを感じる場面も少なくありません。更に、市場環境の変化や交渉途中での条件変更など、予期せぬ事態への対応が必要になることも考えられます。

こうした状況でも冷静に情報を整理し、柔軟かつ迅速に対応することが、M&Aのプロセスを円滑に進めるうえで重要です。

7.5.新しい知識を継続的に学ぶ

M&Aに関連する法令や税制、会計基準などは制度改正などによって内容が変わることがあるため、最新の情報を継続的に取り入れる姿勢が求められます。

また、市場動向や新しい技術などについても、その都度理解を深める必要があります。

業界の変化にも柔軟に対応し、好奇心を持って新しい知識を学び続けることが、M&Aコンサルタントとして専門性を高めることにつながります。

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8.M&Aコンサルタントになるには?

ここでは、M&Aコンサルタントになるために知っておきたいポイントや、未経験から目指す場合の方法について解説します。

8.1.これまでの経験・スキルを棚卸しする

M&Aコンサルタントを目指す際は、これまでの仕事で培ってきた経験やスキルを整理してみましょう。M&Aに直接関わった経験がなくても、過去の業務で身に付けた知識や能力がM&Aの仕事に生かせる場合があります。

未経験者向けの求人では、金融機関における法人営業や融資業務、事業会社での財務・経理や経営企画、コンサルティングなど、M&A業務と関連性が高い経験が評価される場合があります。

これまでの経験を一つひとつ振り返り、「どのような業務を担当したか」「どのような成果を上げたか」「M&Aの仕事でどう生かせるか」を整理しておくと、応募書類や面接で自身の強みを伝える際にも役立つでしょう。

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8.2.M&Aに必要な基礎知識を身に付ける

M&Aコンサルタントを目指すにあたっては、財務、会計、税務、法務などの基礎知識を身に付けることが必要です。加えて、M&Aの仕組みや取引の流れ、企業価値評価などについても理解を深めておくと良いでしょう。

知識を身に付けるには、「ニュースや専門誌で情報を収集する」「M&Aに関連する資格取得を目指す」などの方法があります。継続して学ぶ姿勢は、未経験から応募する際の意欲を伝える材料になります。併せて、これまでの経験とM&A業務との接点もアピールすることが重要です。

8.3.自分の強みを生かせるM&A関連求人を探す

M&Aコンサルタントの勤務先は、M&A仲介会社のほかにもコンサルティングファームやFAS、金融機関、会計事務所、事業会社の経営企画・M&A部門などさまざまな選択肢があります。

また、求人を比較する際は、担当する案件の規模や営業活動の有無、分業制か一気通貫型か、インセンティブ制度、教育体制、平均残業時間などを確認することが大切です。

給与については、固定給の金額だけでなく、固定残業代の有無やインセンティブの算定方法、支給条件も確認してください。

効率的に情報を集める方法として、スカウティングサービスやM&A領域に詳しい転職エージェントなどがあります。これらを活用しながら自身の強みを生かせる求人を探してみましょう。

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9.まとめ

M&Aコンサルタントは、企業の経営課題解決や事業承継などを支援する専門職です。財務・会計などの専門知識に加えて、依頼者の意向をくみ取りながら案件を進める交渉力や信頼関係を築くコミュニケーション力が求められます。

勤務先や担当業務によっては、新規案件を獲得する営業力も必要です。

未経験からM&Aコンサルタントを目指す場合は、金融・財務・法人営業・経営企画などの経験との接点を示すことが重要です。自身のスキルや強みをM&Aの仕事と結び付けながら、必要な知識を学び、M&Aコンサルタントとしてのキャリアを検討してみましょう。

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監修:谷所 健一郎さんのプロフィール画像

監修:谷所 健一郎

キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)/有限会社キャリアドメイン 代表取締役

1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」、「転職者のための面接回答例」、「転職者のための自己分析」(いずれもマイナビ出版)ほか多数。